とびひの主な原因菌は、黄色ブドウ球菌や溶連菌（A群β溶血性レンサ球菌）です。これらの細菌は、健康な皮膚には通常存在していますが、以下のような場合に皮膚に侵入し、感染を引き起こすことがあります。
・小さな傷や虫刺され: 転んでできた擦り傷、虫刺され、湿疹などで皮膚のバリア機能が低下していると、細菌が侵入しやすくなります。
・鼻の穴の入り口: 黄色ブドウ球菌は鼻の穴の入り口に常在していることがあり、そこから皮膚に広がることもあります。
・プールや温泉: 集団生活の場では、タオルや遊具などを介して細菌が感染することがあります。

・水疱性膿痂疹（すいほうせいのうかしん）:比較的年齢の低いお子さんによく見られます。
小さな赤いブツブツができ、それが急速に水ぶくれ（水疱）になります。
水ぶくれは破れやすく、ジュクジュクとしたびらん面（ただれた状態）になり、かゆみを伴うことが多いです。
主に手のひら、足の裏、口の周りなどにできやすいですが、全身に広がることもあります。

・痂皮性膿痂疹（かひせいのうかしん）:年齢に関わらず見られます。
最初に小さな赤いブツブツができ、その後、厚い黄色っぽいかさぶた（痂皮）ができ、かゆみを伴います。
顔面、特に鼻の下や口の周りにできやすいですが、体のどこにでもできます。
溶連菌が原因となることが多く、まれに腎炎などの合併症を引き起こすことがあります。
どちらのタイプも、患部を掻くことで細菌が他の部位に広がり、次々と新しい病変が現れるのが特徴です。

皮膚科を受診していただき、医師が症状を診察することで診断を行います。必要に応じて、患部から細菌を採取して検査（培養検査）を行うこともあります。これにより、原因となっている細菌の種類を特定し、適切な抗菌薬を選択することができます。
平井皮膚科クリニックでも診断しております。

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・外用抗菌薬（塗り薬）:軽症の場合や、病変が限られた範囲にある場合に用いられます。
医師の指示に従い、清潔な状態で塗布してください。
・内服抗菌薬（飲み薬）:原因菌の種類に合わせて、適切な抗菌薬が処方されます。
医師の指示通りに、決められた期間きちんと服用することが大切です。自己判断で服用を中止すると、症状が再発したり、菌が薬に抵抗力を持ってしまうことがあります。
・ガーゼ保護:患部を掻きむしらないように、ガーゼなどで覆うことがあります。
特に、滲出液が多い場合は、周囲への感染を防ぐためにも有効です。
ガーゼはこまめに交換し、清潔に保ちましょう。

かゆみがあっても、できるだけ患部を触ったり掻いたりしないようにしましょう。爪を短く切っておくことも有効です。
家族間でうつることがあるため、タオル、下着、パジャマなどは共有しないようにしましょう。
また入浴は一番最後にするか、シャワーのみにするなど工夫しましょう。
症状が落ち着くまでは、プールや海水浴は医師の許可が出るまで控えるようにしてください。

・予防のために
日頃から手洗いをしっかり行い、皮膚を清潔に保ちましょう。
小さな傷や虫刺されも、早めに消毒するなど適切な処置を行い放置しないようにしましょう。
アトピー性皮膚炎などで皮膚が弱いお子さんは、とびひになりやすいことがあります。湿疹やかゆみがある場合は、早めに皮膚科を受診して治療を受けてください。
鼻の穴の入り口には細菌がいることがあるため、むやみに鼻をいじるのは避けましょう。

痂皮性膿痂疹の原因菌である溶連菌は、まれに腎臓に炎症を起こす腎炎（急性糸球体腎炎）を合併することがあります。とびひの治療後、数週間から数ヶ月後に、尿の量が減る、尿の色が濃くなる、むくみが出るなどの症状が現れた場合は、必ず医師に相談してください。

とびひは、適切な治療を行えば比較的早く治る病気です。しかし、放置すると症状が悪化したり、他の人にうつしてしまう可能性があります。気になる症状があれば、自己判断せずに早めに平井皮膚科クリニックを受診してください。