乾燥・カサカサ
乾燥とは?
皮膚の最も外側にある角層は、わずか0.02mm程度の薄い層ですが、外部からの刺激や異物の侵入を防ぎ、体内の水分が蒸発するのを防ぐという、非常に重要なバリア機能を持っています。「乾燥」とは、この角層の水分量と保湿成分が不足し、バリア機能が低下した状態を指します。
乾燥、カサカサの特徴
肌の乾燥は、単にカサカサするだけでなく、様々な症状を引き起こします。
・皮膚のつっぱり感: 洗顔後や入浴後に特に感じやすい、皮膚が引っ張られるような感覚です。
・かゆみ: 乾燥が進むと、皮膚の神経が過敏になり、かゆみを感じやすくなります。
・粉吹き: 角層の水分が失われ、表面が細かく剥がれ落ちる状態です。
・ひび割れ: 乾燥がひどくなると、皮膚の表面に細かい亀裂が生じることがあります。
・ゴワつき: 角層が厚くなり、皮膚が硬く、ごわついたように感じることがあります。
・赤み: バリア機能の低下により、外部からの刺激を受けやすくなり、炎症による赤みが出ることがあります。
乾燥、カサカサの原因
内的要因
加齢: 年齢とともに、皮膚の水分保持能力や皮脂の分泌量が低下するため、乾燥しやすくなります。
体質: 生まれつき乾燥しやすい体質の方もいます。アトピー性皮膚炎の方などは、特に乾燥しやすい傾向があります。
ホルモンバランスの乱れ: 女性ホルモンの減少などは、皮膚の水分量に影響を与えることがあります。
栄養不足: バランスの悪い食事や、皮膚の健康に必要な栄養素の不足は、乾燥の原因となることがあります。
睡眠不足: 睡眠不足は、皮膚のターンオーバーを乱し、バリア機能の低下につながることがあります。
外的要因
空気の乾燥: 冬場の暖房や夏のエアコンの使用は、室内の湿度を低下させ、皮膚の水分を奪います。
紫外線: 紫外線は、皮膚のコラーゲンやエラスチンを破壊し、バリア機能を低下させるため、乾燥の原因となります。
誤ったスキンケア: 熱すぎるお湯での洗顔、洗浄力の強すぎる洗顔料の使用、過度な洗顔などは、皮膚に必要な皮脂や保湿成分を洗い流し、乾燥を招きます。
摩擦: 衣類やタオルによる摩擦、頻繁な洗顔やクレンジングなども、皮膚のバリア機能を傷つけ、乾燥の原因となります。
化学物質: 洗剤や化粧品に含まれる成分が、皮膚に刺激を与え、乾燥を引き起こすことがあります。
乾燥を引き起こす主な疾患
肌の乾燥は、単なる生理的な現象だけでなく、様々な皮膚疾患の一症状として現れることもあります。
一例として以下の疾患があります。
・アトピー性皮膚炎: 強いかゆみを伴う湿疹と、慢性的な皮膚の乾燥が特徴です。
・皮脂欠乏性湿疹: 高齢者や乾燥しやすい体質の方に多く見られ、かゆみを伴う赤い斑点やひび割れが生じます。特に下腿にできやすいです。
・乾癬: 赤く盛り上がった発疹の上に、白いかさぶたが付着する病気ですが、周囲の皮膚は乾燥していることが多いです。
・魚鱗癬: 生まれつき皮膚の角化異常があり、全身の皮膚が魚の鱗のように乾燥し、剥がれ落ちます。
・シェーグレン症候群: 涙腺や唾液腺が障害される自己免疫疾患で、ドライアイやドライマウスとともに、皮膚の乾燥を伴うことがあります。
・甲状腺機能低下症: 全身の代謝が低下し、皮膚の乾燥や冷えなどを引き起こすことがあります。
これらの疾患が原因で乾燥が生じている場合は、それぞれの疾患に対する適切な治療が必要となります。
診断と治療
肌の乾燥の診断は、主に視診と問診によって行われます。皮膚の状態を観察し、いつから、どのような症状があるか、生活習慣やスキンケアの方法などを詳しく伺います。平井皮膚科クリニックでも診療を行っております。
保湿剤の使用: セラミド、ヒアルロン酸、ワセリン、尿素など、様々な保湿成分が含まれた保湿剤を、症状や部位に合わせて適切に使用します。入浴後や洗顔後など、皮膚がまだ湿っているうちに塗布すると効果的です。
外用薬: かゆみや炎症が強い場合は、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン外用薬などが処方されることがあります。
内服薬: かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン内服薬などが処方されることがあります。
原因疾患の治療: 乾燥の原因となる疾患がある場合は、その疾患に対する治療を並行して行います。
生活指導: 適切なスキンケア方法、入浴方法、室内の湿度管理、紫外線対策など、日常生活における注意点を指導します。
こんな場合は皮膚科の受診をおすすめします
以下のような場合には、自己判断せずに早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
・自分で色々試しても乾燥が改善しない場合
・乾燥によるかゆみが強い場合
・皮膚が赤く腫れたり、ブツブツができたりしている場合
・ひび割れや出血がある場合
・乾燥が全身に広がっている場合
・原因が分からない場合
・以前から皮膚の病気(アトピー性皮膚炎など)がある場合
最後に
肌の乾燥は、日常生活のちょっとした工夫と適切なケアで改善することが可能です。しかし、なかなか改善しない場合や、他の症状を伴う場合は、遠慮なく平井皮膚科クリニックにご相談ください。
































