クリニックニュース

2025.04.18更新

口唇ヘルペスとは

口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV-1型)が皮膚や粘膜に感染して引き起こされる病気です。

≪原因≫

口唇ヘルペスは主にHSV-1型によって引き起こされます。このウイルスは非常に強い感染力を持っており、

主に直接接触やタオル、食器類などを介して感染します

感染経路は以下の通りです

1. 唇の粘膜にウイルスが接触

2. ウイルスが体内に侵入

3. 神経節と呼ばれる部分に潜伏、

一度感染すると、ウイルスは体内に潜伏し続けます。通常、体の免疫力によってウイルスの活性化は抑えられていますが、

以下のような要因で免疫力が低下すると、ウイルスが再活性化し、口唇ヘルペスが発症・再発することがあります

• ストレス

• 睡眠不足

• 疲労

• 発熱

• 紫外線曝露

≪症状≫

• 口唇や周辺部のむずむず感、ピリピリ感

• 痛みを伴う赤み

• 水ぶくれの形成

口唇へ

≪検査≫

臨床症状の確認

まず、口唇ヘルペスの診断は主に臨床症状によって行われます。唇やその周辺に水疱、痛み、かゆみ、腫れなどの症状が現れた場合、

口唇ヘルペスの可能性があります。また、発症や再発の前兆として、数分から数時間にわたって唇やその周囲にピリピリ感、ムズムズ感、

痛み、ほてりなどの症状が現れることがあります。

検査方法

口唇ヘルペスの主な検査方法には以下のものがあります:

1. 抗原検査

水疱からの液体を採取し、単純ヘルペスウイルス(HSV)の抗原を検出します。この検査は症状が現れてから数日以内に行うのが望ましいです。

2. PCR検査

水疱からの液体を採取し、HSVの遺伝子を検出します。PCR検査は感度が高く、感染が疑われる場合に有効です。

3. 血液検査(抗体検査)

血液中のHSVに対する抗体の量を測定することで、過去に感染したことがあるかどうかを調べることができます。

当院では主に臨床症状の確認と抗原検査を行うことができます。抗原検査は水疱がある場合に実施することが可能です。

≪口唇ヘルペスの治療≫

口唇ヘルペスの治療には主に抗ウイルス薬を使用します。治療法は症状の程度や状況によって異なります。

薬物療法

塗り薬(外用薬)

軽症の場合、アシクロビルやビダラビンなどの抗ウイルス成分を含む塗り薬を使用します。

内服薬

より効果的な治療法として、以下の抗ウイルス薬の内服が用いられます

• バラシクロビル:500mgを1日2回、通常5日間服用

• ファムシクロビル:250mgを1日3回 通常5日間服用

内服薬は血液を通じて全身に作用するため、塗り薬よりも高い効果が期待できます。

当院では原則的には、内服薬の治療をおすすめしております。

点滴静注

重症の初感染や免疫不全がある場合、アシクロビルやビダラビンの点滴静注を行います。

治療のポイント

1. 早期治療: 初期症状(違和感、ムズムズ感など)が現れたら、すぐに治療を開始することが重要です。

2. 体調管理: 疲労、ストレス、睡眠不足などに注意し、良好な生活習慣を心がけましょう。

3. 清潔保持: 患部を清潔に保つことで、通常1〜2週間程度で自然に治ります。

※当院では点滴治療は行っておりません。

注意点

• 重症化や頻繁な再発の場合は、より積極的な治療が必要になることがあります。

• 眼周囲に発疹が広がった場合は、角膜ヘルペスの可能性があるため、眼科との連携が必要です。

PIT療法

PIT療法は、ヘルペスの再発を繰り返す場合あらかじめ処方された抗ウイルス薬を患者様自身が

初期症状に基づいて服用を開始する治療法です。初期症状(チクチク、ピリピリ、ムズムズ感)を

自己判断できる患者に適しています。症状の進行を防ぎ、治癒期間を短縮する効果が期待できます。当院医師にご相談ください。

再発口唇へ


≪口唇ヘルペスの予防≫

口唇ヘルペスの予防には、以下の方法が効果的です

免疫力の維持

• バランスの取れた食事を心がけましょう

• 適度な運動を行い、体調を整えてください

• 十分な睡眠をとり疲労を溜めないようにしましょう

• ストレス管理を行いリラックスする時間を作ってください

感染予防

• こまめな手洗いを心がけましょう

• 他人との密接な接触(特にキスなど)を避けてください

• タオルやコップの共用は控えましょう

• マスクの使用も効果的です

皮膚ケア

• 口唇周囲の皮膚を保湿し、乾燥を防ぎましょう

• 保湿クリームやリップクリームを使用してください

紫外線対策

• 日焼け止めを使用し、長時間の直射日光を避けましょう

• 特に体調不良時は、強い紫外線を浴びる屋外活動を控えてください

早期対応

• かゆみや軽い刺激感など、初期症状に注意しましょう

• 症状が現れたら、早めに医師に相談し、適切な治療を受けてください

その他の注意点

• 赤ちゃんとの接触は避け、お世話をする際は特に注意が必要です

• 患部に触れた後は、手指を石けんでよく洗いましょう

これらの予防法を日常生活に取り入れることで口唇ヘルペスの発症・再発リスクを低減できる可能性があります。

ただし、一度感染するとウイルスは体内に潜伏するため、完全な予防は難しいことを覚えておいてください。

≪最後に≫

成人の約半分以上がヘルペスウイルスに感染しているとされ、年齢が高くなるほど感染率も上昇します。

多くの場合、乳幼児期に気付かずに感染しており、感染時はほぼ無症状です。口唇ヘルペスは完治が難しく、

再発を繰り返す可能性が高い病気です。

予防には、日頃から免疫力を維持することが重要です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、

ストレスを軽減する日常生活を送ることを心がけてください。

口唇ヘルペスが疑われる場合は、早期の診断と適切な治療が重要ですので、症状が現れたら早めに当院へご相談ください。

~医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修~

《平井皮膚科クリニックの特色》
健康や病気について学べるクリニック。当院では皮膚のほか、頭から爪まで様々な治療を行っています。お困りの際は平井皮膚科クリニックまでお問い合わせ、ご来院ください。

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投稿者: 平井皮膚科クリニック

2025.04.05更新

満開だった桜も散り始め、間もなく葉桜になりそうですね。皆様はお花見に行かれましたか?

本日は「水虫についてお話ししたいと思います。

◎水虫とは

水虫は、正式には「白癬(はくせん)」と呼ばれる皮膚感染症です。カビの一種である白癬菌が皮膚に感染することで発症します。

主に足に発症しますが、手や頭部、体や陰部など全身の皮膚にも発症する可能性があります。

水虫の主な特徴は以下の通りです。

1. 原因:白癬菌という真菌(カビ)の感染

2. 好発部位:足(特に指の間、足裏)

3. 症状:かゆみ、皮膚の赤み、ただれ、皮むけ、水疱形成など

水虫の種類と症状

趾間型:最も一般的なタイプ。足の指の間、特に薬指と小指の間に発症。皮膚が白くふやけ、赤くただれる。強いかゆみを伴う。

小水疱型:足底や指の付け根に小さな水疱が発生。水疱が破れた後、皮がむける。激しいかゆみを伴う。

角化型:足の裏全体やかかとの角質層が厚く、硬くなる。かゆみは少ないが、ひび割れを起こすことがある。

みずむし

◎水虫の治療

《治療方法》

水虫の治療には主に2つの方法があります:

1. 塗り薬(外用薬)

2. 飲み薬(内服薬)

塗り薬(外用薬)

足や手の水虫には、まず塗り薬を使用します。代表的な成分には、ルリコナゾール、ラノコナゾール、ビホナゾールなどがあります。

塗り薬の使用方法:

• お風呂上がりに塗るのが効果的です

• 症状のある部分だけでなく、指の間から足の裏全体に塗ってください

• 症状が治まっても、最低1ヶ月~2か月は塗り続けましょう

飲み薬(内服薬)

水虫の症状が重い場合や塗り薬で治りが悪い場合は、飲み薬が処方されることがあります。主な薬剤には、テルビナフィン、イトラコナゾール、ホスラブコナゾールがあります。

・治療期間

治療期間は症状や使用する薬によって異なります:

• 塗り薬:症状が改善しても最低1ヶ月~2か月は継続

• 飲み薬:テルビナフィンは6ヶ月、イトラコナゾールとホスラブコナゾールは3ヶ月の内服

水虫2

◎水虫の感染経路

1. 高温多湿な環境:白癬菌は15°C以上、湿度70%以上の環境で活発になる

2. 長時間の靴の着用:特に革靴やパンプスなど

3. 二次感染:感染者が使用したマットやスリッパなどからの感染

4. 公共施設:銭湯、温泉、プール、ジムなどでの感染

5. ペットからの感染:感染したペットとの接触

◎水虫の予防と日常のケアの注意点

水虫の予防と日常のケアについて、以下の重要なポイントを押さえる必要があります。

・足の清潔維持

• 毎日入浴時に足を石けんで丁寧に洗う。特に足の裏全体と指の間を念入りに。

• ゴシゴシ洗いは避け、なでるように優しく洗う。

• 入浴後は足の裏、指の間をタオルでよく拭き、しっかり乾燥させる。

・靴と靴下の選択

• 通気性の良い靴や靴下を選ぶ。

• 綿素材や5本指ソックスなど、吸湿性の良い靴下を使用する。

• 靴は1日おきに履き替えるなど、湿気対策をする。

・家庭内の清潔維持

• こまめに掃除機をかけ、アルコール除菌スプレーで拭き掃除をする。

• バスマットやスリッパの共用を避ける。

• 床や畳の掃除、バスマットの洗濯を頻繁に行う。

・靴のケア

• 布製スニーカーは定期的に丸洗いする。

• 革靴やパンプスの中敷きは水拭きで清潔に保つ。

• 履いた靴は風通しの良い場所で陰干しする。

• 靴の中にアルコール除菌スプレーを使用する。

・その他の注意点

• 公共の場所(温泉、サウナ、ジムなど)では裸足にならないよう注意する。

• 家族に水虫患者がいる場合は、感染予防に特に気をつける。

• 足に傷をつけないよう注意し、白癬菌の侵入を防ぐ

水虫は適切な治療と継続的なケアで改善可能です。症状が改善しない場合や、自己判断での治療に不安がある場合は、皮膚科を受診してください。

水虫の完治には時間がかかることがありますが、根気強く治療を続けることが大切です。ご不明な点があれば、遠慮なくお尋ねください。

※水虫で受診される方へ

水虫の塗り薬を使用されている方は1週間程薬の使用を控えてから受診してください。検査に影響を及ぼすため正しい診断が出来ない可能性があります。

詳しくは当院にご相談ください。

~医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修~

 

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当院では皮膚の他、頭から爪まで様々な治療を行っています。

お困りの際は平井皮膚科クリニックまでお問い合わせ、ご来院ください。

 

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JR総武線平井駅北口より徒歩2分(西友さんの並び、小さい公園のお隣です)

投稿者: 平井皮膚科クリニック

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