クリニックニュース

2025.06.12更新

「皮膚科ではどんな検査をするの?」という疑問をお持ちの方に向けて、当院で主に行われている検査の種類とその目的、どんな時に検査が必要になるのかを解説します。平井皮膚科クリニックでは、視診や問診に加え、必要に応じて科学的な検査を行うことで、肉眼では捉えきれない肌の奥の状態や、症状を引き起こす根本的な原因を特定し、より効果的で安心できる治療へと繋げます。皮膚疾患の正確な診断は、治療成功への第一歩です。

主な検査の種類と目的
当院では、患者様の症状や状態に合わせて、以下のような様々な検査を実施しています。
1. ダーモスコピー検査:皮膚腫瘍の診断に不可欠な拡大観察
• 目的: ほくろや皮膚のできもの(皮膚腫瘍)が良性か悪性か、特に皮膚がんの早期発見に非常に有用な検査です。メラノーマ(悪性黒色腫) など、肉眼では判断が難しい病変の細かな特徴を詳細に観察します。また、脱毛症の診断や病状の進行度合いを評価する際にも用いられます。
• 方法: 特殊な拡大鏡(ダーモスコープ)を用いて、皮膚の表面に光を当てながら病変部を数倍から数十倍に拡大して観察します。痛みは全くなく、数分で完了する非侵襲的な検査です。
• 特徴: 患者様への負担が少なく、皮膚がんの鑑別に大きな力を発揮します。

2. 細菌培養検査:感染症の原因菌を特定
• 目的: とびひ(伝染性膿痂疹) や毛嚢炎、蜂窩織炎など、細菌感染が疑われる皮膚病変の原因となっている細菌の種類を特定します。適切な抗菌薬の選択に役立ち、治りにくい皮膚炎の原因解明にも繋がります。
• 方法: 患部から綿棒で膿や滲出液を採取し、専用の培地で細菌を培養します。数日後に増殖した細菌の種類を特定し、どの抗菌薬が効果的かを調べます(薬剤感受性検査)。
• 特徴: 原因菌を正確に把握することで、より効果的で耐性菌を増やさない治療に繋がります。

3. ウイルス抗原検査:ウイルス感染症を迅速に診断
• 目的: 単純ヘルペス(や帯状疱疹など、ウイルス感染症が疑われる際に、患部にウイルスが存在するかどうかを迅速に確認します。突然の水ぶくれや痛みを伴う発疹の診断に有効です。
• 方法: 患部の水疱の内容物や皮膚の一部を綿棒で採取し、専用のキットや機器を用いてウイルス抗原の有無を調べます。多くの場合、数分から数十分で結果が出ます。
• 特徴: 早期に診断が確定することで、抗ウイルス薬による迅速な治療開始が可能になります。

4. 真菌の顕微鏡検査(顕微鏡的直接鏡検):水虫・たむしの確定診断
• 目的: 水虫(足白癬)やたむし(体部白癬、股部白癬)、爪水虫(爪白癬) など、白癬菌(カビの一種) が原因の皮膚病変であるかを確定診断します。足のかゆみや皮むけ、爪の変色などの症状がある場合に重要です。
• 方法: 患部の皮膚の表面から、ガサガサした垢(鱗屑)や爪の一部を少し採取し、特殊な液体で処理した後に顕微鏡で直接観察します。白癬菌の菌糸が見つかれば確定診断となります。痛みはほとんどありません。
• 特徴: その場で診断できることが多く、すぐに水虫治療を開始できます。

5.爪白癬抗原検査:爪水虫のより迅速な診断
• 目的: 爪水虫(爪白癬)の診断をより迅速かつ正確に行うための検査です。真菌の顕微鏡検査と合わせて行うことで、診断の精度を高め、爪の変形や肥厚の原因を明確にします。
• 方法: 爪の一部を採取し、専用のキットで白癬菌の特定の抗原を検出します。
• 特徴: より早期の爪水虫の確定診断を求める場合に有用です。

顕微鏡

6. 皮膚生検・病理組織検査:皮膚疾患の最終診断
• 目的: 視診や他の検査だけでは診断が難しい皮膚のできもの(腫瘍)や炎症性疾患、など、様々な皮膚疾患の確定診断のために行われる最も重要な検査の一つです。良性か悪性かの判断にも不可欠で、難治性の湿疹や原因不明の発疹の診断に役立ちます。
• 方法: 局所麻酔を施した後、病変部のごく一部を小さく切り取ります。採取した組織は病理医に送られ、顕微鏡で詳細に観察・診断されます。
• 特徴: 検査自体は数分で終了しますが、病理診断には通常2週間程度の時間を要します。当院では、患者様への負担を最小限に抑えつつ、正確な診断を追求します。

7. 血液検査:全身の状態把握と特定の疾患の診断
• 目的:アレルギーの原因物質の特定(View39など、当院で実施可能な項目)、手術前の全身状態の評価(肝機能、腎機能、貧血、感染症の有無など)のために行われます。全身症状を伴う皮膚炎の原因などを探る際にも重要な検査です。
• 方法: 腕の静脈から少量の血液を採取します。
• 特徴: 皮膚の症状だけでなく、全身の健康状態との関連性を評価する上で重要な情報が得られます。

採血

まとめ:正確な検査で安心の治療を
皮膚科での検査は、患者様の肌の悩みの真の原因を突き止め、最適な治療へと導くための大切なステップです。
「気になる症状がある」「なかなか治らない皮膚トラブルがある」という方は、一人で悩まず、どうぞお気軽に平井皮膚科にご相談ください。

~ 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修~
《平井皮膚科の特色》
健康や病気について学べるクリニック
当院では皮膚のほか、頭から爪まで様々な治療を行っています。
お困りの際は平井皮膚科クリニックまでお問い合わせ、ご来院ください。
《アクセス》
JR総武線平井駅北口より徒歩2分にございます。

投稿者: 平井皮膚科クリニック

2025.06.03更新

「なんだか肌の調子が悪い」「これって皮膚の病気?」 私たちの皮膚は、常に外部からの刺激にさらされており、様々なトラブルに見舞われることがあります。このコラムでは、平井皮膚科クリニックに多くご相談いただく、代表的な皮膚の病気について、その症状や原因、一般的な治療法をご紹介します。皮膚の不調が、どの病気に当てはまるのかを知る手助けになれば幸いです。

湿疹・皮膚炎
• 症状: 赤み、かゆみ、小さなブツブツ(丘疹)、水ぶくれ(小水疱)、ジュクジュクとしたただれ、かさつき、皮膚の厚みが増す(苔癬化)など。
• 原因:
o 外的要因: 汗、乾燥、化粧品や金属による接触(かぶれ)、洗剤、紫外線など。
o 内的要因: アレルギー体質、アトピー素因、ストレス、疲労、内臓疾患など。
• 代表的な湿疹・皮膚炎:
o アトピー性皮膚炎: 強いかゆみを伴う湿疹が、良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の病気です。
o 接触皮膚炎(かぶれ): 特定の物質が皮膚に触れることで炎症が起こる病気です。
o 脂漏性皮膚炎: 皮脂の分泌が多い頭部、顔(特にTゾーン)、脇の下などに、赤みやフケのようなカサつきが生じる皮膚炎です。マラセチア菌というカビの一種が関与していることもあります。
o 手湿疹: 水仕事や洗剤、刺激物などに触れる機会が多い手にできる湿疹です。ひび割れやあかぎれを伴うこともあり、日常生活に支障をきたしやすい病気です。
• 治療: ステロイド外用薬、保湿剤、抗ヒスタミン薬の内服などが基本となります。原因を特定し、それを避けることも重要です。

蕁麻疹(じんましん)
• 症状: 数ミリから数センチ大の赤く盛り上がった膨疹(ぼうしん)が突然現れ、強いかゆみを伴う。一つ一つは短時間で消えるが、場所を変えて繰り返し出る。
• 原因:
o アレルギー性: 特定の食べ物、薬剤、虫刺されなど。
o 非アレルギー性: 物理的な刺激(摩擦、圧迫、寒冷、温熱)、発汗、ストレス、疲労など。原因が特定できないことも多いです(特発性蕁麻疹)。
• 治療: 抗ヒスタミン薬の内服が中心となります。症状が重い場合は、ステロイドの内服を一時的に用いることもあります。原因が分かれば、それを避けることが再発防止につながります。

ニキビ(尋常性ざ瘡)
• 症状: 白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ(炎症を伴う)、膿を持った黄ニキビ、ニキビ跡(色素沈着やクレーター)など。
• 原因: ホルモンバランスの乱れ、皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖、ストレス、不規則な生活習慣、間違ったスキンケアなど。
• 治療: 外用薬(アダパレン、過酸化ベンゾイル、抗菌薬など)、内服薬(抗菌薬、ビタミン剤など)、ケミカルピーリングや光治療(IPL)などの自費診療もあります。日頃の丁寧な洗顔と保湿も重要です。

水虫(足白癬)
• 症状: 足の指の間の皮がむける、水ぶくれができる、足の裏全体がカサつく、かゆみ(ない場合もある)、爪が白く濁る・厚くなるなど。
• 原因: 白癬菌の感染。高温多湿の環境を好むため、蒸れた靴下や靴、公共の場の足拭きマットなどを介して感染することがあります。
• 治療: 抗真菌薬の外用薬が一般的です。爪水虫や広範囲に及ぶ場合は内服薬が効果的です。

イボ(尋常性疣贅)
• 症状: 表面がザラザラした、硬く盛り上がった皮膚のできもの。色は皮膚の色に近いものから褐色まで様々。痛みやかゆみは通常ありませんが、足の裏にできると痛みを伴うこともあります。
• 原因: ヒトパピローマウイルスの感染。小さな傷口からウイルスが侵入し、増殖することでイボができます。接触によって他の部位や他の人にうつることもあります。
• 治療: 液体窒素による冷凍凝固療法が一般的です。

乾燥肌・かゆみ
• 症状: 皮膚のカサつき、粉吹き、ひび割れ、赤み、かゆみ。ひどくなると湿疹を併発することもあります。
• 原因: 空気の乾燥(特に冬)、加齢、誤ったスキンケア(洗いすぎ、熱すぎるお湯での入浴)、アレルギー体質、特定の疾患など。
• 治療: 保湿剤によるスキンケアが基本です。かゆみが強い場合は、ステロイド外用薬やかゆみ止めの内服薬が処方されます。入浴方法や生活習慣の見直しも大切です。

皮膚のトラブルは平井皮膚科クリニックへご相談ください
ご紹介した病気は、皮膚科で診る病気のごく一部にすぎません。 「もしかして?」と思う症状があれば、自己判断で市販薬を使用したり、放置したりせずに、早めに専門医に相談することが大切です。皮膚の症状は見た目だけでなく、全身の健康状態を反映していることもあります。平井皮膚科クリニックでは、丁寧な診察と的確な診断を行い、患者様一人ひとりに最適な治療法をご提案いたします。気になる症状がありましたら、どうぞお気軽にご来院ください。
~ 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修~
《平井皮膚科の特色》
健康や病気について学べるクリニック
当院では皮膚のほか、頭から爪まで様々な治療を行っています。
お困りの際は平井皮膚科クリニックまでお問い合わせ、ご来院ください。
《アクセス》
JR総武線平井駅北口より徒歩2分にございます。

 

 

投稿者: 平井皮膚科クリニック

平井皮膚科クリニック TEL:03-5655-1211 平井皮膚科クリニック TEL:03-5655-1211