◎酒さ(しゅさ)とは◎
顔面、特に鼻や頬などに赤み(紅斑)や毛細血管の拡張、吹き出物のようなブツブツ(丘疹・膿疱)が生じる慢性炎症性の皮膚疾患です。
中高年の女性に多く見られますが、男性にも発症します。欧米では比較的よく知られた疾患ですが、日本では認知度が低く、ニキビやアレルギーと誤解されることもあります。
◎酒さの病態◎
酒さのはっきりとした原因は分かっていませんが、以下のような複数の要因が関係していると考えられています。
• 血管の異常な反応:顔の皮膚の毛細血管が拡張しやすく、赤みが目立つ状態になります。
• 皮膚のバリア機能の低下:刺激に対して敏感になりやすくなります。
•皮膚常在菌(特にデモデックス):皮脂の多い部位にすむダニが過剰に繁殖することで炎症が起こるとも言われています。
•免疫反応の異常:自己の免疫が過剰に反応し、炎症が続く状態になることがあります。
また、紫外線、熱い飲食物、アルコール、ストレス、スキンケア製品の刺激などが悪化因子となることがあります。
◎酒さの種類◎
酒さにはいくつかのタイプがあります。
•紅斑性酒さ
顔の赤みが持続するタイプ。最も初期にみられることが多く、毛細血管の拡張が目立ちます。
•丘疹膿疱性酒さ
赤みだけでなく、ニキビに似たブツブツ(丘疹・膿疱)ができるタイプです。実際のニキビと混同されやすいですが、皮脂の分泌異常ではなく炎症が中心です。
•鼻瘤(びりゅう)型酒さ
主に男性に多く、鼻の皮膚が厚く硬くなっていくタイプ。毛穴が目立ち、デコボコするのが特徴です。進行すると外見にも大きく影響します。
•眼型酒さ
目のかゆみや乾燥感、異物感などが出現するタイプ。眼科との連携が必要になることもあります。
◎酒さの治療法◎
酒さの治療は症状やタイプによって異なります。
• 外用薬:メトロニダゾールやイベルメクチンクリームなど、抗炎症・抗菌作用のある塗り薬を使用します。
• 内服薬:ミノサイクリンやドキシサイクリンといった抗菌薬を一定期間内服することで炎症を抑えることがあります。
• レーザー治療:赤みや血管拡張が強い場合、血管に反応するレーザーでの治療が有効なこともあります。
• スキンケアの見直し:アルコールや香料など刺激の強い成分を避け、敏感肌用のスキンケア製品を使うことが大切です。
酒さは完治が難しい疾患ですが、症状をうまくコントロールしながら長く付き合っていくことが可能です。
※当院では行っていない治療もあります。詳しくはお問い合わせください。
◎酒さの予防◎
完全に予防することは難しいですが、以下のような生活習慣で悪化を防ぐことができます。
•紫外線対策を徹底する(帽子や日傘、低刺激の日焼け止めの使用)
• 急激な温度変化を避ける
• 刺激の強いスキンケア製品を使わない
• アルコールや香辛料など血管を拡張する飲食物を控える
◎酒さの日常での注意事項◎
• スキンケアは優しく:洗顔やクレンジングはこすらず、ぬるま湯で優しく洗うようにしましょう。
• 乾燥を防ぐ:保湿はとても大切です。セラミドやヒアルロン酸配合の低刺激な保湿剤がおすすめです。
• メイクは控えめに:ノンコメドジェニック(毛穴をふさぎにくい)なものを選び、落とす際も刺激が少ないものを使用しましょう。
• ストレス対策も忘れずに:ストレスも悪化因子になることがあるため、リラックスする時間を意識的に作りましょう。
◎最後に◎
酒さは一見ニキビや肌荒れと見分けがつきにくいため、自己判断でスキンケアや治療を進めると、かえって悪化してしまうこともあります。
「治りにくい赤みが続く」「ニキビ治療が効かない」といった症状がある方は、皮膚科での診察をおすすめします。
当院では、酒さのタイプに応じた適切な治療法と日常生活でのアドバイスを行っています。
気になる症状がある方は当院へお気軽にご相談ください。
~医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修~
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