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2023.06.22更新

こんにちは、平井皮膚科クリニックですnote2

蒸し暑く、湿っぽいこの季節はいろんなダニ・虫が発生しますねen

今回はヒゼンダニという小さなダニによって引き起こされる皮膚の病気、疥癬についてお話しします。

 


 

【疥癬とは】

疥癬の病原体になるのは、ヒゼンダニという小さなダニです。
メスが体長およそ0.4mm、オスがおよそ0.2mmで、円形の白っぽい体をしています。
ヒゼンダニが角層にもぐりこむことで、痒みや皮疹など疥癬の症状がでます。

*疥癬トンネル
疥癬特有の皮疹に疥癬トンネルというものがあります。
これは、ヒゼンダニのメスが皮膚の表面の角層にもぐりこみ、横穴を掘り進めながら卵を産み付けるためにできます。
ヒゼンダニのメスは、手のひら・指の間・肘・陰部・わきの下・おしりなどに卵を産み付けます。
特に、手のひら・指の間に多く産み付けられます。
乳幼児や、寝たきりの高齢者は足にも疥癬トンネルができます。
治療しなければ、約2か月近くの間、毎日2~4個の卵を産みます。
*ヒゼンダニの卵・ふ化
メスのヒゼンダニが産み付けた卵は、3~5日でふ化し、幼虫となってはい出てきます。
幼虫は皮膚表面をうろついたり、腹部・太ももなど適当なところを見つけると、一時的に穴を掘ったり、脱皮を繰り返し、若虫~成虫となります。
成虫になるまでに、2週間ほどかかります。
*ヒゼンダニは体の中に入ってくるの?
ヒゼンダニは、角層より内側に侵入することはありません。
疥癬で痒みや皮疹ができたりするのは、ヒゼンダニの虫体や糞に対するアレルギー反応によるものといわれています。

 

【症状】
疥癬には通常疥癬と角化型疥癬(重症型)の二つのタイプがあります。
潜伏期間は1~2か月で、かゆみや赤い発疹などの症状が現れます。
感染した人の免疫力により寄生するヒゼンダニの数が異なるため、症状が異なります。

*通常疥癬
ヒゼンダニの寄生数…1000以下
感染力…弱い
主な症状…疥癬トンネル、丘疹・結節(あかいブツブツなど)
主な部位…手指・腹・胸・太もも
かゆみ…強い(特に夜間)

*角化型疥癬
ヒゼンダニの寄生数…100万~200万(中には1000万以上に及ぶことも)
感染力…強い
主な症状…疥癬トンネル、丘疹、結節、角質増殖
主な部位…手・足など
かゆみ…不定

 

【感染経路】

*直接感染
直接肌と肌が長時間接触することで感染します。
例えば、家族・寮での雑魚寝などにより、感染します。
*間接感染
直接肌と肌が接触しなくても、人の体温が残っているシーツ・布団・ベッドの共有により、感染します。
仮眠室・当直室などの利用によって、職場内での集団感染に至ることもあります。
*角化型疥癬患者からの感染
角化型疥癬は通常の疥癬よりも、ヒゼンダニの数が桁違いに多く、間接的な経路での乾癬が容易に起こります、
角化型疥癬により剥がれ落ちた皮膚のかけら(落屑)には生きたヒゼンダニが無数に含まれています。

 

【治療】

疥癬の治療の基本は、ヒゼンダニを殺すことです。
殺ダニ剤には、外用薬と内用薬があり、疥癬のタイプや症状・年齢・妊娠等によって、医師の判断で組み合わせて治療を行います。
かゆみ止めとしては、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤が用いられます。
外用薬は塗り残しのないようにすることが大切です。
薬を塗る範囲については、必ず医師に確認しましょう。

 

【疥癬が確認された際の感染予防対策】

*通常疥癬
通常疥癬患者に対して、隔離や予防衣・手袋の着用は不要です。
身体介護の際は手洗いをしましょう。
寝具や衣服は通常通り洗濯をし、運搬時はビニール袋か蓋つき容器に入れて運びます。
室内も通常通り掃除を行い、清潔にしましょう。
入浴時は、肌と肌の接触を避ける・タオルなど直接肌に触れるものの共有を避けるなどの注意が必要です。

*角化型疥癬
個室に隔離の上、治療を開始します。
隔離にあたって必ず患者本人の同意をとり、人権に配慮しましょう。
ベッド・寝具ごと移動させます。
身体介護にあたって、手洗い・予防衣・手袋の着用をしましょう。
シーツ・寝具類は毎日交換し、運搬時はビニール袋に入れて、ピレスロイド系殺虫剤を噴霧し、24時間密閉してください。
洗濯方法は、50度の熱湯で10分間消毒し、乾燥機を利用すると良いです。
居室は2週間閉鎖するか、ピレスロイド系殺虫剤を1階だけ散布します。
清掃時は、モップ・粘着シートなどで落屑を回収後、掃除機をかけます。
治療終了後、布団・車椅子などに、電気掃除機またはピレスロイド系殺虫剤をかけます。
入浴時、患者の角質層をブラシなどでしっかり落とします。
入浴は最後とし、入浴後に床・壁を洗い流してください。
脱衣所は電気掃除機で清燥してください。

*予防的治療について ※保険適用外
疥癬患者と濃厚な接触があり、現在は疥癬の症状はないが、今後1~2か月以内に発症する可能性が高い人に行う治療です。
少なくとも、1~2か月は皮膚科を受診し、医師の診察を受けてください。
また、健康な人は発症後に治療を受けても十分です。
医師と相談し、過剰予防に気を付けましょう。

 


 

疥癬についてお話ししました。

 

平井皮膚科クリニックは平井駅北口から徒歩2分star

 

当院では皮膚のほか、頭から爪まで様々な治療を行っています。
お困りの際は平井皮膚科クリニックまでお問い合わせ、ご来院ください。

 

参考文献
東京都福祉保健局/疥癬対応マニュアル
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tthc/kansensho/taisaku4intuition/info4shikkan/about_scabies.files/kaisenv3_P1_P10.pdf
マルホ/疥癬の感染予防対策
https://www.maruho.co.jp/medical/articles/scabies/manual/manual08.html

投稿者: 平井皮膚科クリニック

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