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2025.12.19更新

◎粉瘤とは?◎

粉瘤(ふんりゅう) は、皮膚の下にできる良性の腫瘍です。皮膚の成分である表皮などが袋状に変化し、この袋の中に本来であれば皮膚から剥がれ落ちるはずの古い角質や皮脂が溜まって、徐々に大きくなっていきます。

この袋状のしこりは、俗に「脂肪の塊」と誤解されがちですが、実際は皮膚の老廃物の塊です。中央に小さな黒っぽい穴が開いていることがあり、そこから悪臭のする内容物が出てくることもあります。

ふんりゅう

◎どこにでもできる?◎
粉瘤は体のどこにでもできますが、特に背中やうなじ、耳の裏、顔(頬や耳たぶ) などにできやすい傾向があります。
はっきりとした原因がわからない場合が多いのですが、過去のケガやニキビ、毛嚢炎などがきっかけで発生することもあります。
放置すると徐々に大きくなり、まれに野球のボールほどの大きさになることもあります。また、細菌に感染すると急に赤く腫れ、痛みを伴ったり、破裂して膿と悪臭のある内容物が出てきたりします。

粉瘤

◎注意点◎
無理に押し出して内容物や膿を出そうとすると、感染が広がり、症状が悪化する危険があります。自己判断で処置をせず、必ず医師の診察を受けるようにしてください。

粉瘤と似た病気
見た目が粉瘤と似ている病気がいくつかあります。正確な診断のためには、専門医の判断が必要です。
• 石灰化上皮腫:粉瘤より少し黒っぽく、硬いしこり。
• 脂肪腫:皮膚との癒着が少なく、化膿することはない。
• ガングリオン:手足などの関節や腱の近くにでき、中にはゼリー状の液体が溜まっている。
• 脂腺嚢腫症:遺伝性のごく稀な病気。黄色っぽく、若い男性に多い。
• 類皮嚢腫(デルモイドシスト):胎児期の組織が残ったもので、目や鼻の周りにできやすい。毛や黄色い液体が溜まっている。
• 耳前瘻孔(じぜんろうこう):耳の周囲にできる先天性の穴で、粉瘤と間違われることがある。


◎粉瘤の治療法◎

【感染していない場合】
手術で摘出するのが基本的な治療法です。
1. 紡錘形(ぼうすいけい)切除:しこりの大きさに合わせて、開口部を含めて紡錘形に皮膚を切開し、袋ごと摘出します。傷跡が目立たないよう、シワに沿って切開するのが一般的です。
2. くり抜き法:開口部を小さく切開して内容物を出し、袋を抜き出す方法。傷跡がニキビ跡のように小さいため、顔の治療によく使われます。

【感染している場合】
• 軽度の場合:抗生物質や抗炎症剤を使い、炎症を抑えてから手術で摘出します。
• 膿が溜まっている場合:まず切開して膿を出し、傷を開放した状態で治療を行います。感染が治まった後、改めて手術でしこりを摘出します。

◎早めの治療が大切◎
感染を起こしてしまうと治療期間が長くなり、傷跡も残りやすくなります。また、しこりが小さいうちに治療すれば、傷跡もより小さく目立ちにくくなります。
「もしかして粉瘤かも?」と思ったら、感染がひどくなる前に形成外科を受診することをおすすめします。

 

~医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修~


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投稿者: 平井皮膚科クリニック

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