気温がぐんと下がって暖房器具など使う機会が増えてきましたね本日はこの時期に起こる確率の高い「火傷」についてお話しいたします。
火傷(やけど)とは?
火傷とは、熱湯、油、アイロン、ストーブなど、高温のものに皮膚が接触することで起こる損傷です。私たちの皮膚は体温調節や外部からの保護という重要な役割を担っていますが、熱によってこの皮膚の組織が壊されてしまうのが火傷です。
火傷は誰もが自宅で経験する可能性がある身近なケガですが、その重症度は様々です。軽い赤みで済むものから、皮膚の深いところまで損傷し、痕(あと)が残ったり、機能障害を起こしたりするものまであります。正しい知識を持っていれば、万が一の際に重症化を防ぐことができます。

火傷の症状と特徴
火傷の症状は、熱が皮膚のどこまで達したか(深さ)によって大きく3つに分類されます。重症度が深くなるほど、治療に時間がかかり、病院での専門的なケアが必要になります。
I度(軽度): 皮膚の一番表面(表皮)だけが損傷した状態です。
症状: 皮膚が赤くなる(紅斑)、ヒリヒリとした軽い痛み。
特徴: 水ぶくれはできず、通常は数日で痕を残さずに治ります。
II度(中等度): 皮膚の奥にある真皮まで損傷が及んだ状態です。
症状: 水ぶくれ(水疱)ができます。強い痛みを伴うことが多く、クリニックを受診すべき目安となります。
特徴: 浅いII度なら痕を残さず治りますが、深いII度の場合は治癒に時間がかかり、痕が残る可能性があります。
III度(重度): 皮膚全体(表皮、真皮、さらに皮下組織)まで損傷した状態です。
症状: 皮膚が白っぽい、または黒く焦げたようになり、感覚(痛み)がなくなります。
特徴: 自然治癒は困難で、皮膚の機能が失われるため、専門病院での手術(植皮など)が必要になることがほとんどです。
火傷が起こる原因
熱湯や蒸気: やかんやポットの熱湯、お風呂の温度確認不足、調理中の蒸気など、家庭内で最も多い原因です。
熱いものとの接触: アイロン、ストーブ、ファンヒーター、車のマフラーなどに触れることで起こります。
化学熱傷: 強酸や強アルカリなどの化学物質が皮膚に付着することで起こります。
火傷の発生部位ごとの特徴
火傷は、体のどの部位に起こったかによっても重症度が変わってきます。
顔や首: 腫れやすく、呼吸器系に影響が出る可能性があるため注意が必要です。
手や足(関節付近): 治った後に皮膚が引きつれて(拘縮)、動きに制限が出る(機能障害)可能性があるため、早期の専門治療が重要です。
股(会陰部): 細菌感染を起こしやすいため、慎重な処置が必要です。
火傷を和らげるために自分でできる対処法は?
火傷をしたら、何よりもすぐに行うべき大切なことがあります。それが冷却(冷やすこと)です。
※※ 最重要:流水で患部を徹底的に冷やしてください!※※
火傷は時間との勝負です。熱が皮膚の奥へ伝わるのを止め、組織の損傷が深くなるのを防ぐことが最優先です。
すぐに冷やす: 服の上からでも構いませんので、水道の清潔な流水(15℃程度)を患部に15分〜30分、痛みが和らぐまでかけ続けます。
服は無理に脱がない: 火傷の部位に衣服が貼りついている場合は、無理に脱がずに、服の上から水をかけて冷やしてください。無理に脱ぐと、皮膚まで剥がしてしまう危険があります。
水ぶくれは破らない: 水ぶくれ(水疱)は、皮膚を保護する自然なバリアの役割をしています。ご自身で破ると細菌感染のリスクが高まります。
受診をした方が良い場合は?
ご自身で応急処置をした後、以下のような症状や状況があれば、すぐに当クリニックを受診してください。
水ぶくれ(水疱)ができた場合(II度以上が疑われます)。
火傷の範囲が広い場合(手のひらサイズ以上)。
I度(赤みだけ)でも、顔、手、足、股など、重要な部位の火傷。
痛みがほとんどない、または皮膚が白く変色している場合(III度の可能性)。
乳幼児やご高齢の方の火傷。
やけど後にズキズキとした痛みが続く場合。
火傷は初期の正しい治療が、治癒までの期間や痕が残るかどうかに大きく影響します。自己判断せずに、お早めに平井皮膚科へご相談ください。
どのような診察が行われるの?
平井皮膚科クリニックでは、火傷の深さと範囲を慎重に診察します。これは適切な治療法(外用薬、被覆材、通院頻度など)を決めるために最も重要です。
どのような検査が必要で、何を調べる?
通常の小さな火傷の場合、特別な検査は不要で、視診(目で見て診断すること)が基本となります。ただし、感染が疑われる場合は、細菌の有無を確認するために細菌培養検査を行うことがあります。
どのような診断と治療が行われるの?
診断された火傷の深さに基づき、以下のような治療を行います。
I度熱傷: 炎症を抑える軟膏や、保湿剤などを使用します。
II度熱傷: 創部(傷口)を清潔にした上で、感染を防ぐための軟膏を塗布し、**創傷被覆材(ドレッシング材)**などで保護します。適切な湿潤環境を保つことで、早くきれいに治癒するように導きます。
III度熱傷: 適切な応急処置後、速やかに連携先の高度な治療が可能な病院へご紹介します。
最後に…
江戸川区の皮膚科クリニックは、地域の皆様の「かかりつけ皮膚科」として、火傷のような身近なケガから、アトピー性皮膚炎やじんましんなどの慢性疾患まで幅広く対応しております。
私たちは、単に病気を治すだけでなく、患者様一人ひとりに寄り添い、「なるほど、そうだったのか!」と納得していただけるよう、丁寧な説明と温かいケアを心がけています。ご自身の皮膚や健康を大切にするきっかけとなれば幸いです。
「これくらいの火傷で受診していいのかな?」と迷われた時こそ、お気軽にご来院ください。ご家族やご友人にも、今日の火傷の応急処置の「新常識」をぜひシェアしてくださいね
~医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修~
《平井皮膚科クリニックの特徴》
健康や病気について学べるクリニック
当院では皮膚のほか、頭から爪まで様々な治療を行っています。
お困りの際は平井皮膚科クリニックまでお問い合わせ、ご来院ください。
《アクセス》
JR総武線平井駅北口から徒歩2分にございます。
































