オテズラ錠の勉強会をしました
2025.05.27更新
先日、当クリニックでは「オテズラ錠」についての勉強会を実施しました。
乾癬や掌蹠膿疱症でお悩みの方にとって、新しい治療選択肢となるこのお薬についてお話しします。
オテズラ錠とは?
オテズラ錠(一般名:アプレミラスト)は、PDE4(ホスホジエステラーゼ4)という酵素の働きを抑えることで、炎症を引き起こす物質の産生を抑制する、新しいタイプのお薬です。
疾患による炎症を抑え、症状の改善が期待できます。
オテズラ錠は、主に以下の疾患に使用されます。
• 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
• 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
これらの病気は、いずれも慢性的な炎症を伴い、患者さんの生活の質に大きく影響を与えることがあります。
また、掌蹠膿疱症に関して令和7年3月から適用開始となり、今回勉強会を開催する運びとなりました。
オテズラ錠の特徴
• 内服薬であること: これまでの生物学的製剤が注射による投与であったのに対し、オテズラ錠は飲み薬であるため、ご自宅で手軽に服用できるという大きなメリットがあります。
• 幅広い乾癬のタイプに対応: 尋常性乾癬だけでなく、関節症状を伴う関節症性乾癬、重症型の膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症にも適用があります。
副作用について
どんなお薬にも副作用のリスクはありますが、オテズラ錠で比較的多く報告されているものとしては、下痢、吐き気、上気道感染症、頭痛などがあります。
これらの症状の多くは軽度で、服用を続けるうちに改善することが多いとされています。しかし、気になる症状があれば、遠慮なく当院にご相談ください。
次に適応病名である尋常性乾癬、掌蹠膿疱症についてお話しします。
◎尋常性乾癬とは◎
尋常性乾癬は、皮膚が赤くなり(紅斑)、その上に銀白色のフケのようなもの(鱗屑)が厚く付着し、それがポロポロと剥がれ落ちるのが特徴です。かゆみを伴うこともあります。
この病気は、皮膚の細胞が通常よりもはるかに速いスピードで増殖し、成熟する前に表面に押し上げられてしまうことで起こります。
症状
• 紅斑(こうはん): 赤く盛り上がった発疹。
• 鱗屑(りんせつ): 紅斑の上に付着する銀白色のフケのようなもの。
• 浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう): 皮膚が厚く硬くなること。
• かゆみ: 個人差はありますが、かゆみを伴うことが多いです。
好発部位は、頭皮、肘(ひじ)、膝(ひざ)、お尻など、刺激を受けやすい場所によく見られます。
原因
原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因に加えて、ストレス、肥満、喫煙、飲酒、感染症、特定の薬剤などが発症や悪化に関与すると考えられています。
自己免疫疾患の一つと考えられており、体の免疫システムが皮膚に対して過剰に反応することで炎症が起こるとされています。
◎掌蹠膿疱症とは◎
掌蹠膿疱症は、手のひら(掌)や足の裏(足底)に、小さな膿(うみ)を持ったブツブツ(膿疱)が繰り返しできる病気です。
この膿疱は、ニキビの膿のように細菌が原因でできるものではなく、無菌性(細菌がいない)であることが特徴です。
症状
主な症状は以下の通りです。
• 膿疱(のうほう): 手のひらや足の裏に、直径数ミリ程度の黄色っぽい小さな水ぶくれのような膿疱ができます。
• 紅斑(こうはん): 膿疱の周りが赤くなります。
• 鱗屑(りんせつ)・落屑(らくせつ): 皮膚がカサカサして、フケのように剥がれ落ちることがあります。
• 角化・ひび割れ: 症状が長く続くと、皮膚が厚く硬くなり、ひび割れて痛みが生じることもあります。
原因
はっきりとした原因はまだわかっていませんが、いくつかの要因が関係していると考えられています。
●扁桃腺の炎症(扁桃炎)や虫歯などの病巣感染: 体のどこかに慢性的な炎症があると、それが引き金となって掌蹠膿疱症が発症したり、悪化したりすることがあります。
●喫煙: 喫煙は掌蹠膿疱症の発症や悪化に強く関連していることが知られています。
● 金属アレルギー: 歯科金属などが原因でアレルギー反応が起こり、掌蹠膿疱症として現れることがあります。
●免疫の異常: 体の免疫システムが過剰に反応することで、炎症が起こると考えられています。
最後に
オテズラ錠は、乾癬や掌蹠膿疱症でお悩みの方々にとって、治療の選択肢を広げる有望な薬です。
乾癬や掌蹠膿疱症でお困りの方、オテズラ錠についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ一度当クリニックにご相談ください。
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